特集 改正省エネ基準第2弾 断熱の基礎と設計・施工のポイント

特集 改正省エネ基準 第2弾 
 断熱の基礎と設計・施工のポイント






改正省エネ基準の完全施行が目前に迫っています。今回の改正は長期優良住宅や住宅性能評価書、フラット35S、住宅エコポイントなど多くの場面で影響をもたらすほか、2020年にはすべての住宅で適合の義務化が予定されています。
今回は、改正省エネ基準に対応した家づくりにおいて必要不可欠となる、断熱の基礎や設計・施工のポイントについてまとめました。




建築物の省エネ性能を評価するために国土交通省が定める「住宅・建築物の省エネルギー基準」では、従来は冬季に建物がどれだけ熱を逃がさないか、また夏期にどれだけ日射を遮ることができるかという「外皮性能」を基準として評価していました。
2013年10月に施行された「平成25年省エネ基準」(改正省エネ基準)では、これに加えて設備機器の省エネ性能や創エネ性能を加味してエネルギー量を算出する「一次エネルギー消費量」が評価の対象として新たに導入されました(図1)。
また外皮性能を表す基準も、従来の「熱損失係数(Q値)」および「夏季日射熱取得係数(μ値)」から、「外皮平均熱貫流率(UA(ユーエー)値)」および「冷房期の平均日射熱取得率(ηA(イータエー)値)」へと変更され、より正確に住宅の外皮性能を表すことができるようになりました。
適合のための手順としては、所定の計算プログラムを用い、「外皮平均熱貫流率」および「一次エネルギー消費量」を算出し、定められた基準を満たすよう設計します。






省エネ化の方法には、外皮の断熱と日射遮蔽などによる建物による省エネ化と、エネルギー使用の効率化や創エネ化による設備による省エネ化があります。
施工を行う際には、特に建物による省エネ化の効果を最大限発揮するための断熱や気密性、日射の遮蔽性について正しい理解が必要です。
適切に断熱、気密化された住宅では、外皮やその隙間を通って住宅の内部から熱が外へ逃げたり入ったりするのを抑制し、冬季の暖房効率や夏季の冷房効率を向上させます。
また、適切な日射遮蔽性能を確保した住宅では、窓やドアといった開口部からの日射の侵入を抑えることで、夏季の冷房負担を軽減することができます。
住宅の断熱には、床や外壁、天井や屋根などを断熱材ですっぽりと包みこむ「躯体の断熱」と、窓などの開口部の断熱性を高める「開口部の断熱」があります。
躯体の断熱には「充填断熱工法」と「外張断熱工法」がありますが、今回は一般的に広く採用されている充填断熱工法における断熱設計・施工のポイントを解説します。




省エネ基準に従って計算・設計された住宅が計算通りの省エネ性能を発揮するためには、適切な方法に従って施工が行われることが必要です。
適切な施工を行わない場合、十分な断熱性能が発揮されないばかりでなく、居住者の快適性や健康を損ねたり、様々な不具合や劣化の加速を引き起こしてしまいます。
こういった現象はお客様からの信頼を損ねたり悪評が広まってしまうばかりでなく、場合によっては後から瑕疵として認められ、トラブルに発展するリスクもあります。
一方、断熱が正しく施されると、室温や表面温度の安定や室内の上下の温度差を軽減することによる快適性の向上をはじめ、暖房費の抑制、部屋間温度差を軽減することによるヒートショックの抑制、また結露の防止による衛生環境や住宅の性能劣化の抑制など様々なメリットをもたらします。
住まい手の安全と快適を考えた良質な住宅づくりを行うためには、まず住宅の断熱についての基礎的な考え方とその効果について理解することが重要です。




断熱を行うことで得られるメリットは、冬季には「体感温度」を高く夏季には低く保てることです。
普段私たちが室内で感じる体感温度は、室内の気温だけではなく、壁や床といった表面の温度にも左右されます。
一般的に、体感温度は表面温度と室温の中間程度と言われています。

 体感温度≒(表面温度+室温)÷2

断熱化された住宅では、熱が室内から外へ逃げることを防ぐことで、室温だけでなく表面温度も高く保つことができます。
そのため冬場には同じ室温でも暖かく感じやすく、快適でかつ暖房費を抑えることができます。
例えば、暖房機器により室温を同じ20℃に保っている場合でも、壁や床の温度が10℃であれば体感温度は15℃ですが、適切な断熱により壁や床が18℃に保たれていれば、体感温度は19℃となります(図2)。




断熱性能が高い住宅は室内温度差を近くすることができます。
断熱性能が不十分な住宅の冬場では、室内で上昇した温かい空気から熱が外へ逃げ、その分冷たい空気が部屋内の下部に滞留し、上下の温度差が生じやすくなります(図3)。
このような温度差がある状態では、いくら暖房を行っても快適にはならず、無駄なエネルギーを消費してしまいます。
適切な断熱を行うことによって、居住空間を効率よく温めることができます。




温度差には部屋と部屋の格差もあり、断熱性能の高い住宅では、暖房を行っていない部屋の温度も温かく保つ効果があります。
断熱性能が低い場合、例えば南向きの日当たりのよいリビングと、暖房設備のない北側のトイレや浴室などの部屋間で大きな温度が生じてしまいます(図4)。
これにより、屋内での急激な温度差により「ヒートショック」を生じやすくなります。
ヒートショックは、気温差によって血圧が急激に変化することで体に及ぼす影響で、心筋梗塞や脳血管障害などの循環器系の疾患の発症リスクを高めます。
東京ガス都市生活研究所によると、1年間にヒートショックが原因で亡くなる人は14,000人で、交通事故で亡くなる人よりも多いと言われています。




家全体が適切に断熱された住宅では、暖冷房の効率を考慮して部屋を細かく仕切る必要がないため、開放的な間取りが可能となるなど、設計の自由度が増すというメリットもあります。
そして、正しく断熱された住宅は結露も防止します。
結露とは、水分を含んだ温かい空気が冷やされることで、それまで空気中に含まれていた水分が水滴として出現する現象です。
適切な断熱化が図られていない住宅では、例えば南側のリビングの空気が、北側の暖房を行っていない寒い部屋へ流れ込むなど、屋内の空気差により結露が生じやすくなります。
結露が発生すると、住まいを汚して不快であるばかりでなく、カビやダニの発生源となり、不衛生な環境を作り出してしまいます。
さらに、室内だけでなく、構造躯体内での結露が発生すると、構造躯体の劣化や、断熱材の断熱性能の低下など、住宅自体の性能や耐久性の低下につながってしまいます。
住宅を適切に断熱化することは、単純に冷暖房費を抑制することによって省エネ化を実現するだけでなく、快適性の実現や疾患の抑制、住宅の劣化の防止など様々なメリットにつながります。




住宅の断熱化を行うためには、まず設計の段階で、断熱処理を行うことにより住宅の内部と外部を熱的に区分する「断熱層」を設定します。
断熱層は、途中で途切れることなく内部空間をすっぽりと覆う連続した層として構成します(図5)。
連続性の途切れた「断熱欠損」が生じてしまうと、そこから多量の熱が逃げてしまうため、ほかの部位でいくら断熱性を高めたとしても住宅全体の断熱性能は著しく低下してしまいます。
また、冬場では室温の低下に加えて室内側の表面温度が低下することで、体感温度が低下し快適性を損なう原因となるほか、結露の発生にもつながります。
木造軸組み工法の住宅で一般的である「充填断熱工法」では、主に床、壁、天井、屋根、基礎といった躯体の内部に断熱処理を行いますが、家全体をどのような断熱設計とするかにより、断熱を施す部位が変わります。
例えば、断熱層を屋根に設定した場合には天井の断熱処理は必要ありませんが、逆に断熱層を天井に設定した場合は屋根の断熱処理は必要ありません。
断熱層とならない部位を断熱処理するとコストが増える一方で、住宅全体の断熱効果にはさほど寄与しません。
また、設計段階で適切な断熱対策がなされていても、施工の段階で違う場所に断熱を施してしまうミスにも注意が必要です。
特に胴差廻りや下屋、屋根断熱における小屋裏などは間違いやすい場所となります。
また、床と壁の接合部、下屋と2階外壁の接合部、それに間仕切り壁の上部などは断熱欠損が生じやすい箇所です。さらに、ユニットバスや土間廻りなど、床に断熱が入らない箇所での断熱設計とその施工にも注意が必要です。




断熱層には、断熱材による「断熱性能」のほかに、躯体内部での結露を防止する「防露性能」、室内から断熱層への空気の侵入を防ぐ「気密性能」という3つの基本性能が必要です(図6)。
充填断熱工法で繊維系の断熱材を用いる場合、断熱性能は断熱材が、防露性能は防湿・気密シートや通気層が、気密性能は防湿・気密シートが担います。
熱性能は、冬季には室内の熱が屋外に、夏季には屋外の熱が室内に侵入することを防ぐ機能で、断熱材が担います。
断熱性能を確保するためには、十分な性能の断熱材を適正な大きさと厚さで充填することが必要です。
また、断熱材の性能を十分に発揮するためには正しく施工することが重要です。
充填するスペースに対して寸法の大きな断熱材を過剰に詰め込んだり、逆に寸法の小さな断熱材を詰めて隙間が生じてしまうと、断熱性能は大きく低下してしまいます。
防露性能は、躯体の内部で結露が生じることを防ぐ機能です。
室内の温かい空気が躯体の内部に侵入し、外の冷たい空気に接すると結露が生じます。
躯体の内部で結露が生じると、断熱材が十分な性能を発揮しなくなるばかりでなく、その劣化を早めてしまします。
また、構造材が湿気を帯びることで、躯体の強度や耐久性の劣化にもつながります。
防露性能を確保するためには、まず室内から断熱層に侵入する湿気をシャットアウトすることが重要です。
これは一般的に、内装材の内側に張られた防湿・気密シートが担っています。また、いったん入り込んでしまった湿気については、断熱材の外側に設けた通気層から、スムーズに外へ逃がします。
気密性能は、住宅の隙間から空気が出入りするのを防ぐ機能です。
多くの空気が出入りすると、その分多くの熱損失が生じることになります。
気密性能を担うのは、防露性能と同じく主に断熱材の内側に設ける防湿・気密シートです。
このように、住宅の断熱には、断熱材の正しい施工だけでなく、防湿・気密シートの正しい施工や通気層の設置による防露性能や気密性能の確保が重要となります。
住宅全体で、断熱、防露、気密の3つの性能を十分に満たすよう、設計段階での断熱層の確認、また施工段階における断熱欠損の有無や適切な防湿・気密処理の確認が不可欠です。


完全施行直前!改正省エネルギー基準のポイントと計算基礎

完全施行直前!
省エネ基準への対応で低炭素な家づくりを
改正省エネルギー基準のポイントと計算基礎






2013年10月に14年ぶりの大改正が行われた省エネ基準は、1年半の経過措置期間を経ていよいよ4月から完全施行を迎えます。
2020年までには省エネ基準は義務化される予定であることに加え、目先のことでは長期優良住宅や住宅性能評価書、フラット35S、住宅エコポイントなど多くの場面で影響をもたらします。今回は、間近に迫った改正省エネ基準の改正ポイントや計算の基礎などについてまとめました。




4月から完全施行となる「平成25年省エネ基準」と従来の「次世代省エネ基準」との大きな変更点は、「一次エネルギー消費量の導入」と「外皮の熱性能に関する基準の変更」、「地域区分の細分化」の3つです。
従来の省エネ基準では、冬季には建物からの熱損失をどれだけ防ぎ、夏季には日射熱をどれだけ遮れるかという建物の「外皮性能」のみが評価対象となっていました。
新しい省エネ基準では、外皮性能に加え、暖冷房や給湯、照明、換気などの設備機器の性能や太陽光発電などの創エネルギーを加味した「一次エネルギー消費量」が設けられ、建物全体の省エネ性能が評価されるようになりました(図1)。
なお、従来の外皮性能は全体の熱損失率を床面積で割る「熱損失係数」(Q値)が用いられていましたが、改正基準では総外皮表面積で割る「外皮平均熱貫流率」(UA(ユーエー)値)に変更となりました。




日射遮蔽性能についても同様に、総日射取得量を床面積で割った「夏季日射取得係数」(μ値)に代わり、方位を考慮した総外皮表面積で割った「冷房期の平均日射熱取得率」(ηA(イータエー)値)が新たな指標となりました。



改正後の外皮の熱性能基準では、外皮の面積当たりどれだけの熱が内側から逃げるか、あるいはどれだけの熱が日射により家の中へ侵入するかを、建物の形状や規模にかかわらず正確に評価できるようになりました。



改正省エネ基準の評価の方法は、住戸全体の断熱性能を邸別に計算して評価する「性能基準」と各部位(屋根・壁・床・開口部など)に定められた断熱性能により評価する「仕様基準」の大きく2通りがあります(図2)。
性能基準を用いる方法はいくつかの計算が必要となりますが、住宅の省エネ性能の水準が分かるほか、部位や設備機器によって省エネ性能の調整が可能で、設計自由度が大きくなります。
仕様基準を用いる方法は、各部位に用いる建材や設備ごとに性能や使い方が規定されているため比較的取り組みやすいとされています。
しかし、規定されている仕様は実際の性能値から一定の余裕を持って設定されているため、その分求められる性能値のハードルは高くなってしまいます。
また、運用は当面の間の措置とされているほか、認定低炭素住宅の申請に使用することはできませんので注意が必要です。






性能基準を用いる方法により外皮性能を計算する場合は、(一社)住宅性能評価・表示協会などのホームページから専用の計算プログラム(エクセル)をダウンロードして使用します。

(一社)住宅性能評価・表示協会
http://www.hyoukakyoukai.or.jp/teitanso/gaihi.html

(独)建築研究所
http://house.app.lowenergy.jp/

 

(一社)日本サステナブル建築協会
http://lowenergy.jsbc.or.jp/top/

 

専用計算プログラムでは、まず、外壁や屋根、天井、床、窓、ドアといった部位ごとに、外部との熱的境界となる外皮面積を求め計算シートに入力します。
次に、外皮に用いる建材の性能値や施工方法を入力することで、部位ごとの熱貫流率が求められます。そしてこれらを各部位の面積により住戸全体で平均させることで、UA値が求められます。
そして、各部位ごとの日射熱取得率を求め、各方位、地域、季節による日射量の違いによる補正を行ったうえで、住戸全体のηA値を求めます。
専用計算シートでは、UA値とηA値が該当する地域区分ごとに定められた基準値以下であれば適合と判断されます。
一次エネルギー消費量の計算には、(独)建築研究所の専用の計算プログラムを使用します。

(独)建築研究所
http://house.app.lowenergy.jp/

 

まず、暖冷房、換気、給湯、太陽熱発電といった各設備機器の性能値を計算シートに入力します。
そして、外皮性能の計算によって求められた性能数値を入力することで住戸全体の一次エネルギー消費量が算出され、該当する地域区分に即して適合判断が行われます。




外皮性能の計算は、外皮面積の計算が一つのポイントとなります。
断熱材を入れる場所や外気を遮断する場所の違いにより熱的境界の面積が変わり外皮性能が変わるためです。
また、一次エネルギー消費量の計算および適合判断は、外皮性能の計算および適合判断をクリアしたうえで行われます。そのため、すべての計算後に断熱材の位置や納まり、窓の大きさなどが変更になると、再び面積計算の段階からやり直す必要があります。
これらのことから、改正省エネ基準に適合した家づくりを進める場合、断熱材や窓、サッシの仕様や施工方法の標準仕様をある程度決めておくことで、各部位の面積計算や熱貫流率の計算をパターン化して省力化できます。
一次エネルギー消費量に影響する各種設備機器についても、標準仕様を決めておくことで性能値を確認する作業を軽減させることができます。

住宅・建築物の省エネ基準に関する技術情報
(独)建築研究所
http://www.kenken.go.jp/becc/index.html 

特集 改正省エネ基準・認定低炭素住宅

特集 改正省エネ基準・認定低炭素住宅





東日本大震災を契機に社会全体の省エネルギーに関する意識が高まる中、14年ぶりとなる改正省エネ基準が施行されます。
従来の省エネ基準には一定の経過措置が設けられますが、誘導的な措置として「低炭素建築物認定制度」がいちはやくスタートするなど、
この動きに対応していくことが求められます。
今回は、改正省エネ基準と省エネ住宅の新しい姿である「認定低炭素住宅」のポイントをまとめました。


 

国土交通省と経済産業省の告示において、改正省エネ基準の施行が、非住宅建築物については2013年4月1日、住宅については2013年10月1日からなされることとなりました。
今回の改正ではそれぞれ経過措置期間が設けられており、非住宅建築物は2014年3月31日、住宅は2015年3月31日までは現行基準でも適用することができます。(図1参照)
なお、改正省エネ基準は、住宅性能表示制度や長期優良住宅認定制度における省エネ性能評価方法への反映も予定されており、2013年度中の見直しが検討されています。
よって、この2つの制度を活用して新築住宅を建築する場合には、改正省エネ基準への対応が必要になることが考えられます。
国土交通省と経済産業省、環境省の3省による方針では、2020年をめどにすべての新築建築物に対して改正省エネ基準を適合義務化させるとしています。
今後、消費税率改定に対する駆け込み需要も考えられる中、需要をしっかりとつかむためには、国の方針や施策をしっかりと理解し、対応していくことが求められます。






省エネ基準の改正ポイントは、「地域区分の細分化」「外皮の熱性能に関する基準の変更」「一次エネルギー消費量による省エネ性能評価の導入」の3点となります。
地域区分は、トップランナー基準に準じて従来の6地域から8地域へと細分化されます。






現行の省エネ基準における外皮の熱性能基準では、同じ仕様であっても小規模住宅や複雑な形状の住宅では値が大きく出てしまうといった課題がありました。
これを踏まえ、外皮総熱損失量を床面積で割る「熱損失係数:Q値」から、総外皮表面積で割る「外皮平均熱貫流率:平均U値」が新たな指標となり、規模の大小や住宅の形状にかかわらず、評価の精度がより高くなります。
また、日射遮蔽(しゃへい)性能については、総日射取得量を床面積で割る「夏期日射取得係数:μ値」から、方位係数を考慮した総外皮表面積で割る「冷房期の平均日射熱取得率:平均η(イータ)値」が新たな指標となり、方位をはじめ、屋根や天井、外壁、ドア、窓ガラスからの総日射量が評価できるようになります。




 

現行の省エネ基準では、建物の断熱性能への評価が中心で、省エネ性能の高い設備機器を使用しても評価できないといった課題があげられていました。
これを受け、今回の改正のポイントは、外皮の断熱性能に加え、暖冷房や給湯、照明設備などの性能も含めて、建物全体の省エネ性能を評価できるよう、「一次エネルギー消費量」を指標とする基準に見直されます。
一次エネルギー消費量は、「暖冷房エネルギー消費量」「換気エネルギー消費量」「照明エネルギー消費量」「給湯エネルギー消費量」「家電エネルギー消費量」で評価されます。
具体的な計算には、国土交通省国土技術政策総合研究所と独立行政法人建築研究所が提供する「一次エネルギー消費量算定プログラム」を用いて算出できる仕組みとなっています。

省エネルギー基準に沿った計算方法が掲載されたホームページ
http://www.kenken.go.jp/becc/index.html/



改正省エネ基準を普及させることを背景に、施行に先駆けて昨年12月より、省エネ基準よりもさらに環境性能が高い住宅を後押しする「低炭素建築物認定制度」が開始しました。この制度で認定される住宅(以下、認定低炭素
住宅)は改正省エネ基準をベースとしており、ポイントは以下の4点です。
@外皮性能に関する基準が改正省エネ基準に適合していること(1999年基準の次世代省エネ基準と同等レベル)。
A一次エネルギー消費量が改正省エネ基準のマイナス10%であること。


 

B低炭素化に有効な以下の8項目から2項目以上を満たすこと(もしくは、CASBEEなどで一定評価を得ること)。
 (1)節水機器の設置
 (2)雨水、雑排水の利用
 (3)HEMSの利用
 (4)再生可能エネルギーと定着型蓄電池の設置
 (5)ヒートアイランド対策
 (6)劣化対策の軽減措置
 (7)木造住宅
 (8)高炉セメントなどの使用
C市街化区域などであること




長期優良住宅は、良質な住宅が長期にわたり良好な状態で使用できるように耐久性・耐震性・維持保全容易性などが求められています。
これに対して認定低炭素住宅は省エネ化に特化しており、より高い省エネ性能が求められることとなります。
具体的な認定基準の比較は以下の通りです。




 

認定低炭素住宅には、各種税制優遇が用意されています。
住宅ローン減税については、長期優良住宅と同じ基準という、一般住宅より拡充された内容が適用されます。




また、現金で購入した場合に所得税額の控除が受けられる投資型減税については、 これまで長期優良住宅のみが対象でしたが、2014年4月からは認定低炭素住宅も追加されます。
この制度では、認定低炭素住宅などを建築するためにかかる標準的な性能強化費用相当額の10%を税額控除できます。
なお、控除額の算定基礎となる標準的な掛かり増し費用(u単価)は併せて引き上げられる予定ですが、金額は未定です。


 

さらに、住宅購入時などにかかる登録免許税についても、一般住宅特例よりさらに引き下げられています。





国が目指す低炭素社会の実現に向けて、認定低炭素住宅制度の開始に続き、今年10月の改正省エネ基準施行、続いて予定されている品確法、住宅性能表示制度の省エネ等級基準の改正など、工程表の内容が段階的に実施され、2020年には一戸建住宅も省エネ基準適合義務化を迎える見通しです。
つまり、近い将来には改正省エネ基準をベースに、認定低炭素住宅や、ゼロ・エネルギー住宅、さらに低炭素化されたLCCM(ライフサイクルカーボンマイナス)住宅などが、新たな住宅市場を形成することになります。
2020年の義務化に向け、低炭素化にどのような方針で取り組むかを決め、着実に対応していくことが重要です。




特集 改正省エネ基準・認定低炭素住宅

特集 改正省エネ基準・認定低炭素住宅







損害保険料率算出機構はこのたび、地震保険基準料率の見直しを金融庁に届け出ました。
同機構は、料率改定の理由として、将来的な地震発生に伴う損害の危険が増加したことや、耐震性能によっては現行の割引率以上の格差があったことをあげています。
地震保険基準料率の改定については、政府の地震調査研究推進本部が見直した「確率論的地震動予測地図」にもとづいて行われ、全国平均で15.5%の引き上げとなります。
地震保険基準料率は都道府県および建物の構造ごとに異なりますが、木造系の「ロ構造」については18道府県が、マンションなど耐火建築物、準耐火建築物および省令準耐火建物の「イ構造」については23府県が、引き上げ率上限である30%に達しています。




一方で、割引率についても、今回新たに見直されました。
地震の揺れに対する建物の被害実態などから再評価した結果、「免震建築物割引」ならびに「耐震等級割引」については、現行の割引率以上の差があるとし、免震建築物および耐震等級3の建築物については現行の30%から50%へ、耐震等級2の建築物については現行の20%から30%へと拡大されます。
なお、耐震等級1および1981年6月以降に新築された建物に対する割引率は10%に据え置かれます。
金融庁は、長くても90日以内に新基準料率の適合性を審査し、各損害保険会社は新料率を採用した保険商品を、2013年7月以降の契約から販売する流れとなります。
今回の料率改定が適用されれば、東京都における1年間の保険料は、保険金額1,000万円、割引適用なしの場合、「イ構造」で3,300円、「ロ構造」で1,300円の引き上げとなります。
しかし、耐震等級3および免震構造の建築物の場合は、「イ構造」で1,700円、「ロ構造」で5,600円、保険料が引き下げられます(下囲み)。


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